ティーチングの思いを語る

聞き手:長谷部裕治(ソフィア・デザインワークス 代表)

さて、本日は、数多くの一般ゴルファーおよびインストラクターを指導されてこられた、日本プロゴルフ協会(PGA)のA級ティーチングプロ、また 日本体育協会公認ゴルフ教師でもある岩原勇氏を訪ね、ゴルフにかける「ティーチング」の思いをお聞きしました。

 

▮ 潜在能力の開発


長谷部(以降HSB): 自分の思い通りに、ボールをコントロールしたいというのが、ゴルファーの声だと思います。それを叶えようと、プロのスイングをみて、できもしないのに、ついつい意識し、結果は最悪。どうすればいいスイングができるのでしょうか。

 

岩原(以降IWHR):ゴルフゲームを未体験の人でも、自分のやっているスポーツであれば、そのニュースやトーナメントの番組をみているのではないでしょうか。ゴルフのトーナメント中継であれば、興味のある選手のスイングは、なんなく印象に残っているものと思います。

 

そのなにげなく見ていたゴルフスイングは、実は、視覚から入ってきた記憶(イメージ)として、蓄えられているンですね。しかし、これを意識(真似)すれば、その通りになるか、と言えば、それができないことは、皆さんも既にご承知のとおりです。

 

どうしてかというと、人間には、それぞれ個性というものがあり、その個性は、みなさん、異なるからです。異なる個性の人が、同じスイングを出来るはずはありません。私だってできないですよ(笑)。結論からいえば、プロのスイングのイメージで、自分の個性(潜在能力)を活かしたスイングを開発すればいいのです。

 

HSB:それができないから、お聞きしているのですが(笑)。

 

IWHR:まぁまぁ、慌てずに(笑)。イチローというメジャーリーガーをご存じですよね。彼のスイングは、女子プロの岡本綾子さんのスイングをイメージしていると言われています。打席に立つ前に、素振りをしますが、そのスイングは、まるでゴルフプレイヤーのよう。でも彼は、岡本綾子ではありません。当然ですが(笑)。

 

練習の時に、ボールの行き先を気にせず、好きなプロのスイングイメージをそのままに、素振りをするンです。しばらくすると、無意識にそのスイングになっていきます。ダメであれば、さらに無意識にスイングできるよう、素振りを繰り返すンですね。

 

実際にボールを打つ時には、今度はそのスイングイメージを、忘れ去ること。これが肝心なところです。結局、できあがったそのスイングは、決してそのプロのもの真似ではありません。自分の個性をいかしたスイングとして、身についているものなのです。

 

▮ 個々人の持っているテンポ


HSB:プロの動作のリズムはいつも同じです。何か心がけていることあるのですか?

 

IWHR:ゲーム中に心がけていることは、リズム(テンポ)を変えないことです。これを「ルーティーンといいます。ルーティーン (routine)とは、決まり切った手続きや仕事のことです。また、イチローの話になりますが、彼は打席に立ったときに、右手にバットを縦に構え、左手でその肩口の袖をたくしあげます。これが、彼の打席でのルーティーンなンです。

 

また、例えば、某女子プロゴルファーはスタンスを決める時に、右足を定位置に置き、右手でドライバーのフェースを飛行線に合わせます。次に左手をグリップに添え、最後に左足を決めます。この一連の動作は、常に一定で、寸分の狂いもなく行われます.........<沈黙>.......まぁ、多少、狂いはでてきますが、、、、そこはツッコミどころではないです(笑)。

 

これらは、練習で修得したもので、常日頃から、意識することが大事ですね。

 

リズムはティーショットの時だけ、注意すればいいわけではありません。歩く速さ、会話の早さ、行動を起こすタイミング等、すべてにおいていえるものです。その人の持っている、その人にとって、心地よいスピードがあるはずで、これを見つけることが、とても重要なンです。

 

▮ 無駄を省く


HSB:プロの試合をみていると、無駄な動きがないですね。

 

IWHR:いえいえ、そんなことはありません。経験豊富なゴルファーであっても、いくつかの不確定要素があります。その不確定要素を一つでも減らせれば、そのプレーヤーの、ゴルフゲームに対する安定度が増すというわけです。

 

そもそも、人生というもの自体も、不確定要素が多いです。その不確定要素を減らせば、生活が安定する、、、、って、あまりも現実過ぎました(笑)。

 

話を元に戻します。結局、ゴルフゲームにおける不確定要素(無駄)を減らすということは、いってみれば、つまりレベルアップする、ということなンですね。その意味で、一般プレーヤーは、これまで以上に不確定要素を減らすよう、アドバイスを受け、練習することが大切です。

 

▮ 人の意欲は...


楽しい、面白い、意味がある、認められる、大好き等の要素を伸ばすことにより、潜在的な人間の能力が、表にあらわれてきます。しかし、それはなかなか自分ではわかりません。常に自分をみてくれる、そのような主治医は、何のジャンルであれ、誰であれ、必要となってくるでしょう。常日頃より、頑張っているみなさんですが、さらなるチャレンジを期待したいと思います。

 

▮ インタビューを終えて

 

ゴルフに係わらず、人間がよりよい成長を目指すためには、常日頃より「問題意識」をもつことが重要だという。問題を意識することにより、指導者のひとつひとつの何でもない動作や言葉が、自分へのアドバイスに聞こえてくるから不思議だ。

 

岩原プロのお人柄とともに、生徒さんに役立つアドバイスを引き出せたならば、幸いである。

 

                                                                                                                文責:長谷部裕治(体育施設管理士, 所属:小平市体育協会)